古今銭湯用語の基礎知識
【のれん】いらっしゃいませ、とお客様をお迎えするしるし。お風呂屋さん選考でのれんの柄を見比べるのも又楽し。関西では大抵の場合右側が男性、左側が女性の入口となっている事が多い。
【番台】大抵、おじさん、おばさんがちょこんと座っている。男湯と女湯の境界で少し高い場所にある。わざわざ大きなお金を持って行って、釣り銭を数える時間を稼ぐ場所。現在はフロント形式になっている銭湯もある。
【かけ湯】足もとからだんだん心臓に近い方へお湯をかける。浴槽に入る前に大ざっぱに汚れを落とす。この時、下半身もさっぱり流すことがエチケットとされている。
【気泡湯】お湯の中に勢いよく泡を噴射して、体をマッサージしてくれる。現代の銭湯としては比較的ポピュラーな設備である。
【流し合い】知り合いと見れば互いに背中を流し合うのがかつての銭湯の常だった。家族や友人同士、たまには試してみるのも楽しいことかも。
【上がり湯】お風呂から出る仕上げに体をすっきりさせるのに使うお湯。
【風呂敷】肌が風呂の底に直接触れぬように湯舟の中に敷いて使い、上がった時はそれで足を拭いた時代もあった。のちには持ち物を包んだり脱着場の床に敷いたり脱いだ物の上に掛けたり、というふうにお風呂の必需品として生まれた言葉のようです。
【風呂道具】バスタオル、石鹸、自分に合ったシャンプー、リンスこれは基本持ち物。化粧水、リキッド等これも自分に合ったものをご持参ください。これらは店にも売っています。洗面器もあればネ。

銭湯の歴史
 広く明るい湯ぶねの中で、のんびりゆったり手足を伸ばしあふれる湯の音をききながら鼻歌の一つも浮かべて、あ、究極のひととき…。というのが理想のお風呂タイムのイメージですが、あなたはどんな風に入浴を楽しんでいますか?気が向いたらひょいと出かけて、どっぷりつかる銭湯物語り。かなり満足できる時間をお約束しますよ。
 ところで、こんな結構なモノはいつ頃からあったのでしょうね。町なかで温泉の醍醐味を味わえる近代銭湯は明治から100年。今は内風呂が一般的で銭湯の楽しみを知らない人までいますが、30〜40年前は銭湯通いが普通で、お風呂屋さんは隣り近所の人達の集まる所。洗い場で、湯ふねで、脱衣場で、憩いと団らんの輪が繰り広げられます。
その銭湯の原形は鎌倉時代あたりからの蒸し風呂 のもの。大勢の人がお互いの顔もわからない湯気と暗がりの中で汗や疲れを流していたようです。しかし、行水で体の清浄を保つのも日常的でした。それより前の時代では、湯で蒸したり湯を浴びたりすることがそのまま仏教的な功徳として病気の治癒につながっていたので、今日的な意味の健康、清潔とは異なる入浴観でした。古代の日本では仏教の興隆とともに、湯を使うことが僧侶の大切な勤めとなり寺院の大きな事業となって、 湯ということが行われました。一般民衆も寺院の浴室を利用させてもらえたのでした。もともと日本人に「浄め」「みそぎ」等、水によって体と心を清めることが出来ると考えていたので、水より快適な湯が功徳を生むということはすんなり受け入れられることだったのですね。
水で流して清潔にして、ポカポカ身も心も湯であたためて裸のお付き合い。昔も今も変わらない日本人のお風呂好き。集いあってお風呂に入る。これが銭湯の歴史の中に流れている共通のポリシー。なんだかちょっとお風呂屋さんに出かけてみたくなりました。
 
インターネット銭湯登場
 世はまさにデジタル時代。パソコンのキーボードを叩けば瞬時に世界に情報を発信し、また地球の裏側の出来事も入手する事ができます。彦根の天神湯さんは根っからのパソコン好き。ご自身でインターネットのホームページを開設し新しいお風呂屋さんのあり方を展開中です。ホームページの内容は、初めて銭湯にこられる人(外国人向けに英語の注釈もある)にわかりやすく、銭湯へ行くための持ち物、下駄箱の使い方、番台での目線の決め方、脱衣の方法、挨拶の仕方などが詳しくイラスト入りで解説されています。かけ湯、洗い方、上がり湯などの基本的なエチケットについてもおもしろく図解されています。
 また、県下の銭湯マップも現在書き込み中です。湯上がりにビール片手でインターネット。インターネットに疲れたら又お風呂…。これ結構新しい贅沢な大人の遊びになるかも。
アクセス番号は
URL http://www.biwako.ne.jp/〜mido/

お風呂の効用
 さっぱり、すっきり、ほんわか、ポカポカ、シャキッ。こんな気分が一変に味わえる所はお風呂をおいて他にはなかなかないでしょう。
 こと程さように清潔と健康に貢献できる入浴を一層意義あるものにするため、さあ今からお風呂に入るのだ!という意気込みをもつことを提案します。一丁気分転換にとか、頭のてっぺんから足先まで磨きたてるぞとか、新しい石けんを使ってみる期待感とか、普段は人目にふれない高級肌着をさりげなくみせてしまうこととか、汗を流して好感度をアップしようとか、あったまって身も心もほぐそうとか、真摯であれ邪心であれ目的を持ってお風呂に臨み、目的遂行の努力を果たせば、ああいい湯だったと言えること請け合いです。ちょいと笑顔が浮かんであたりには湯上がりのいい香りもただよい…。お風呂の効用も広がるものなのです。

正しいお風呂の入り方
「現代の銭湯における正しいお風呂の入り方」として心を配ることは、一に効用を期待しつつ出かけることです(お風呂の効用参照)。着替えやお風呂グッズ等の用意も周到に銭湯に到着したら、のれんをよく見て入口を間違えないようにすること。全身をきれいに流してから浴槽に入るとか、タオルを浴槽に浸さないとか、浴槽の中で顔や髪を洗わない等は銭湯衛生上の常識ですが、なるべく低い姿勢でお湯をかけるとか、カランは手で押すとかの振るまいはそばにいる人のくつろぎを保つための大切なポイントです。お年寄りや子供には付き添う人がいることが安心ですね。毎日でも行きたい銭湯ですが、飲酒した時、病気、体調不良の時は健康のためには危険なこともありますのでひかえましょう。みなさまのお越しを、お待ち申し上げています。